こんにちは。まりもです。
友人に「宝石になった日の歌詞解釈をしてくれ!」と脅されたので記事書いてます。
曲の概要
BUMP OF CHICKENメジャー6枚目のアルバム「Butterflies」に収録されている曲です。
↑MV出てます!
↑なんとカルピスのCM主題歌としても使用されています!!
歌詞解釈
http://j-lyric.net/artist/a000673/l0396dd.html
↑宝石になった日の歌詞です。
MV、CMを見たり、曲を聴いた第一印象は「明るさ」「透明感」だと思います(人によって違いますが)
タイトルも「宝石になった日」ですし、"大切な思い出を歌った唄なのかな"って考えてしまいましたが、大分違いました。
BUMP OF CHICKEN「宝石になった日」のテーマは「人の死、死別」だと考えています。
歌詞を追いつつ解釈をしていきます。
夕立が屋根を叩いた唄 窓の外で世界を洗った
掌にはなんにもない ただなんとなく眺めて何分
実はこの「宝石になった日」には難しい比喩などは使われてなく、言葉をそのまま読み解いていけば良かったりします。
情景説明から歌は始まります。僕は家にいて、外は夕立です。「掌になんにもない ただなんとなく」からもわかる通り、僕は何か大きな喪失感を感じています。
君は夜の空を切り裂いて 僕を照らし出した稲妻
あまりにも強く輝き 瞬きの中に消えていった
ここで君が登場します。君のことを「僕を照らし出した稲妻」と表現しています。
夕立には稲妻がつきものですのでこの二つの表現を使ったのもありますが、"一瞬で消えてしまった"ということを伝えるための言葉でもあります。
この時点で、"君は僕を照らしてくれていたけど、すぐに消えてしまった"という解釈が出来ます。
あとどれくらいしたら普通に戻るんだろう
時計の音に運ばれていく
「あとどれくらいしたら普通に戻るんだろう」。このことから分かる通り、僕は"異常"な日常を過ごしていることが分かります。
あの温もりが 何度も聴いた声が 君がいた事が 宝石になった日
忘れたように 笑っていても 涙越えても ずっと夢に見る
”君がいた”からもわかる通り、今は”君がいない”のです。君がいなくなった日を境に、それまでの思い出が「宝石」となります。
「宝石」とは、非常に美しく、また強度があります。強度があるを言い換えるならば、変化しないという事です。
君との思い出はもう変化しない、と解釈することが出来ます。
僕は「忘れたように笑っていても 涙超えても」君の事を忘れることが出来ないのです。
ここまでの歌詞を追った時点で、「君との別れについての唄」であることは解ります。
しかし、それが単なる別れなのか死による別れなのかは判断できません。
二番以降の歌詞を追っていきましょう。
太陽は何も知らない顔 完璧な朝を連れてくる
丸めた背中で隠して 冴えない顔 余計なお世話
どんな感情を持っていても、どんな日を過ごしていても、太陽は登ってきますし日常は続きます。
余談ですがロストマンの歌詞にも「どんなふうに夜を過ごしても 昇る日は同じ」というものがあります。(余談おわり)
出来る事はあんまりないけど 全くないわけでもないから
全自動で続く日常をなんとなく でも止めないよ
僕が「全自動で続く日常」を過ごしている理由はただ一つ、君との別れがあったからです。
「でも止めないよ」から分かる通り、強い意志を持って日常を過ごしているわけでもないし、かといって弱い意志を持っているわけでもありません。本当に「なんとなく」過ごしているのです。
出来るだけ先の未来まで見届けるよ
出来るだけ先に運んでいくよ
これは君に向けた言葉です。「出来るだけ先に運んでいく」のは君との思い出でしょうか。
こんなに寂しいから 大丈夫だと思う
時間に負けない 寂しさがあるから
BUMPはここまで直接的に感情を表現することをほとんどしません。しかし、この歌詞では「こんなに寂しい」と表現しています。
「振り返らないから 見ていてほしい」、このあたりでこの歌は単純な別れの唄ではないことを確信しました。おそらく最大の別れ、"死"による君との別れについての唄であると考えました。
そう考えればすべてしっくりきます。人の死の悲しさは時間が解決してくれる、なんていう言葉を耳にしたことがあります。
そんな君との別れを時間によって忘れたくないから、「こんなに寂しいから」「時間に負けない」で君との思い出を忘れないよ。だから「大丈夫だと思う」と表現しています。
瞬きの中 消えた稲妻 雨が流した 君の足跡
瞬きの中 掌の下 言葉の隙間 残る君の足跡
君は実態として消えてしまったけど、僕の心の中にその足跡は残ってるよ。という意味です。
増えていく 君の知らない世界 増えていく 君を知らない世界
君の知っている僕は 会いたいよ
この歌詞に関して、『竹林の屋敷』で以下のように表現されています。
BUMP以外にも日本語詞の曲を色々聞いてきましたが、最も天才的だと思う歌詞の一つです。
僕も全くの同意見です。
上の歌詞では、3つの視点があります。
・1つめの視点は"君" 「増えていく君の知らない世界」
なぜ君の知らない世界が増えていくのでしょうか。答えはやはり"君はもう死んでしまったから"に他なりません。死ではない別れだった場合は、「君の知らない世界」が増えるはずがないからです。
・2つめの視点は"世界" 「増えていく君を知らない世界」
"君がいない"ということをこんな言葉を使って表現できることに驚きを隠せません。間違いなく藤原基夫(作詞者)はすさまじい才能を持っているでしょう。
君がいなくなることによって、世界から見たら君がいない世界が増えていくのです。
・3つめの視点は"僕" 「君の知っている僕は会いたいよ」
"君は世界を知らない"、"世界は君を知らない"に対比させるように"君の知っている僕"という言い回しをしています。そして「会いたいよ」と想いを吐露しています。
ひとりじゃないとか 思えない日もある
やっぱり大きな 寂しさがあるから
応えがなくても 名前を呼ぶよ 空気を撫でたよ 君の形に
あの温もりが 何度も聴いた声が 君がいた事が 宝石になった日
忘れないから 笑っていける 涙越えても ずっと君といる
君がいた事が 宝石になった日
BUMPの歌詞の流れとして「何か大きな寂しさを見出しても、自分の中に強さを見つけて過去にとらわれずに未来を見据える」というものがあります。
しかし、この曲に関しては明確に未来を見据えていません。
「君がいた」という過去を忘れないために必死に生きていく僕の様子が描かれています。
「涙超えてもずっと君といる」からもわかる通り、君と死別した悲しさを忘れたとしても、忘れないよ。という事を言っています。
"忘れたとしても忘れないよ"という言葉を使いましたが、日本語としては間違っています。ですが、この曲に登場する僕の感情を表す表現として使いました。
おわりに
こんなにキャッチ―なメロディー、素敵なMV、透明感あふれるCMの主題歌なのに歌詞の内容は正反対でした。
他にもBUMPの解釈はいくつかあるのでそちらも見てくれるとうれしいです!