こんにちは。まりもです。2016年7月10日に開催された「ART-SCHOOR × THE NOVEMBERS presents KINOSHITA NIGHT × KUBI」という対バン形式のライブに参加してきました。なのでここでその感想を書いていこうと思います。
ちなみにワタクシ、出演バンドの曲をほとんど一曲も聴いていない状態で参加してきました。理由は後述するとして、bumpと地下アイドルしか知らないような大学生が全く知らないバンドのライブに初見で参加したときの感想。ということです。なのでファンの方からしたら「違うだろ!」って感じるところあると思うんですけど、温かい目で見守ってください。
知識0で対バンに行った訳
今回行った対バンの参加バンドは4組。
1.ART-SCHOOL
2.THE NOVEMBERS
3.polly
4.Burgh
です。これを読んでくださっているみなさんはおそらく2組とかそれ以上は知っているし、知ってるから対バンに行ったと思います。しかし僕はライブといえば年に1回行くbumpのライブと、気が向いたら行く地下アイドル(妄想キャリブレーション)のライブにしか行ったことありません。そんな僕が上記のようなバンドを知る機会もないですし、きっと行く機会も生まれるはずありませんでした。
しかし何のいたずらか、THE NOVEMBERSのギターボーカルである小林さんのブログを目にする機会がありました。その時目に入ってきた文章を下に書きます。
沢山の共演者や、音楽関係者は皆口を揃えて、僕たちのライブの空間を特殊だと言う。褒め言葉でも貶し言葉でもなく。
空間は、関わった全ての人で作るものだから、僕からすればいつだって、どんな形だってそれは“自然”なのですが。
きっと、THE NOVEMBERSのライブの空間の中では、いろんなものが“ノイズ”になりやすいと思う。それを“ノイズ”と捉えるかどうかは人によるけれど、隣にいる人の“楽しみ”は尊重しよう。それは回り回って、あなたの“楽しみ”を守る事にもなるはずだから。そういう気持ちから自然発生するのがマナーだと思う。(ルールではない)http://the-novembers.com/weblog/page/2/ 2014年1月27日の記事より引用させていただきます(原文より、色を変えて一部太字に改編してあります)
「僕たちのライブ空間を特殊だと言う」までは分かります。みんなと同じことをやるのが嫌いな人が音楽をやってるみたいな所ありますから。だけど「THE NOVEMBERSのライブ空間では、いろんなものが"ノイズ"になりやすいと思う」は正直理解不能でした。ノイズって何? そのバンドのライブに行くといろいろなものがノイズになるの? 一体どんな音楽を演奏して歌ってるの? という風に疑問しか湧いてこなかったです。ライブというものにあまり行ってませんでしたが、それでも通常、ライブでノイズになりえるものなんてありません。せいぜいマナーの悪い客くらいです。ただ、この人はそういったことをノイズとたとえたのではないことは容易にわかりました。ライブ空間を特殊にしているのは、彼等の音楽であり、彼等の音楽の元では何かしらの力が働いて周りが"ノイズ"になる。僕はそう解釈しました。
その解釈が正しいのに(なんとなく正しいという確証はありました)、ライブに行かないなんて選択肢はありませんでした。その文章を読んだ時点で一番近い日程で開催されるチケットを予約し、当日を待ちました。ほかのバンドの音楽は目当てでなかったので聞いてないですし、THE NOVEMBERSもノイズはライブじゃないと発生しないみたいな言い回しであったので彼等の音楽も聞かずに当日を待ちました。(追記:なんで中学生の感想文みたいな書体になってるんだろう)(しかし直さない)
感想
そんなこんなで恵比寿にある普通サイズのライブハウスに出向き、律儀にTHE NOVEMBERSのライブTシャツまで買って(一曲も聴いたことないバンドのライブTシャツ着てる人って超めずらしいとか考えながら)、客席に入って、前から三列目の左寄りに収まりました。ライブハウス行ったことある人ならわかると思うんですけど、全員が「前がいい!」って感じでもないので早く入ったのに後ろの見やすい位置を陣取る人とかも結構います。
なので前のほうに行くのはそこまで苦じゃありませんでした。なぜ前に行ったかと聞かれたら「せっかくチケット代払ったんだから近くで見ないと損じゃん!」という何ともありきたりな理由です。左側に行ったのは僕がベース大好きだからです(弾けるわけじゃないです)
風の噂で「今日の対バンはそこまで激しくないからヒールでも安全。荷物を預けなくても大丈夫だよ」と聞いていたのですが、にわかには信じがたかったです。アイドルのライブの前のほうなんて埼京線の満員電車をマイルドにした感じですし、bumpでもアリーナ席に荷物を持ち込むのはマナー違反だったりします(座席が用意されている場合を除く)
でも、実際客席に行ってみるとほとんどの人が荷物持ったままでした。どんだけ安全なんだ今日のライブはとか考えてました。ライブも界隈が変わればマナーやルールなんて180度変わるっぽいです。
以下、初見でライブを見た感想です。THE NOVEMBERSはまとめて最後に感想を書きます。
polly
一組目のバンドです。ちなみに僕のライブの着眼点はわりと特殊なので「何言ってんだコイツ」とか思うかもしれません。
このバンドを見ての感想としては、「ベース仕事してるな」です。
演奏中、ボーカルはもちろんベース、リードギター、ドラム全員の手元だったり目線だったりを見てました。そのうえで、ベースの仕事っぷりに感動しました。
いろんな意見あると思いますが、主にバンドを構成する3つの楽器(ギター、ベース、ドラム)の中で一番下に存在する音がベースです。下に存在する音というのは音程の話ではなく、音楽の構成の話です。音楽というものはギターとドラムとベースによる積み木のようなものです(当然、これ以外の楽器を使うバンドだったりクラシックも音楽だったりしますが、ここで使う"音楽"は、この日僕が見てきた音楽です。なのでバンド限定の意味)
その積み木の一番下、土台を担っているのがベースです。そしてベースの上にはドラム、その上にギターがあります。しいてボーカルを挙げるとすれば積み木の一番上、三角形の部分です(積み木って一番上が三角形のやつってイメージあるので)
さて、そんな積み木で目立つのはもちろん一番上です。誰も積み木の土台なんて気にしません。でも、その土台が不安定であったり脆かったりしたら、そんな立派な積み木も崩れます。つまり音楽というものはそういうものです。
ベースの音に合わせてドラムは演奏し、そのドラムの音を聞いてギターやボーカルは演奏します(もちろんベースの音を聞きながら演奏するリードギターもいます。が、その逆はいないです)。つまり、バンドにおいてもっとも重要なのはベースである。これが僕の持論です。ベースが崩れたバンドは文化祭で高校生が演奏するような勢いだけの音楽を紡いでしまいます。
話を感想に戻します。pollyというバンドを初めて見たのであくまで感想ですが、めちゃくちゃ上手! というわけではありませんでした。でも、このバンドのベースは、音楽の土台として他三人をリードしていました。
ライブ中、ドラムが走る(演奏が早くなってしまう)場面があったとき、ベースの人はドラムの方まで移動してドラムの人と目を合わせながら演奏していました。それによりドラムのテンポは戻りベースの人も自分の持ち位置に戻っていきました。
僕は素人だし初見なので、もしかしたらあの時ドラムは走ってなかったかもしれないです。でも、僕の目からは明らかにベースがドラムをなだめているように見えました。
目の前で音楽が創り上げられてるんですよ。完成した曲をお披露目するのがライブだと考えているならそれは違うと思います。人間は生きてるから、その人間によって生み出される音楽も生きてます。バンドってのは音楽という生き物を生み出してるんだから、その都度何かしらの修正なりをしないと音楽は死にます。高校生の文化祭で演奏される音楽、あれは死んでます(僕はその音楽も大好きですけども)
ごちゃごちゃ言いましたが、このバンドはベースが素晴らしく、目の前で生きてる音楽に触れることができました。
あとボーカルがコミュ障をこじらせた藤原基央みたいでした(僕はそういう人も好きです)
Burgh
二組目のバンドです。ちなみに一組あたり持ち時間45分位です。
pollyがいい感じに音楽を創ってくれたので今回も期待して見てました(もちろんボーカルとギターベースドラム全員をくまなく)。このバンドはわりと激しめな音楽らしく、ドラム激しいボーカル叫ぶ、ベースも音量でかくてスラップしまくってる! みたいな勢いの音楽でした。ベースが落ち着いていないのに妙に演奏が収まってるな、って思ってリードギターの方を見て驚きました。
他の三人が激しく動きながら演奏してるのにリードギターだけ一歩も動かず機械みたいに正確なリフ刻んでたからです。違和感がすごかったです。三人激しく一人めちゃくちゃおとなしい。
でも、そのリードギターはおとなしいだけじゃなかったです。常に体を左に(ボーカルの方)に向けて演奏してました。あくまで予想ですけど、彼は正確なリフで他三人の演奏の下に入り込むベース的な役割もしてたんだと思います。強い。
そして疑問だったのは、そのリードギターの人、シールドをギターのストラップに通さずにアンプに繋いでいたんですね。何言ってるかわからない人ごめんなさい。
通常、ギターとアンプをシールド(ギターにつなぐケーブルみたいなの)で繋げるときにはストラップという部分に通すことで演奏中シールドがギターから抜けにくくしています。今まで見てきたギタリストは全員こうしてました(初心者の高校生を除きます)
それなのにその人はシールドをストラップに通さずに演奏していました。それこそギター教本の5ページ目くらいに書いてあるくらいの当然のことなので、ものすごい疑問で演奏に集中できなくなるレベルでした。
あまりにも疑問すぎて、本人のtwitterにリプして聞こうかと思ったんですけど、どうやらその人ファンからのリプライは返さない派らしくて仕方なくほかの人に聞きました。
聞いたのは神奈川県本厚木を中心に活動しているロックバンド「君ノトナリ(@kimi_tona_)」のギターボーカルの「鈴木穂高さん(@Hodaka_Suzuki)」です。
Q.かくかくしかじかで、シールドをストラップに通してなかったんですけど、これってなにかメリットあるんですか?
A
ということらしいです。バンドをやってらっしゃる方でも明確な答えが分からないというあたり、真相は闇の中です。奇跡的に本人とお話しする機会があったら聞いてみます(理由分かる方いましたらコメント欄にお願いします)
ART-SCHOOL
4組目のバンドです。順番前後してますけど気にしないでください。最初の二組のバンドは後の二組のバンドに比べて知名度がなかった&3組目のTHE NOVEMBERSはファンがおとなしいタイプのバンドだったので、演奏が始まったときに前に客が押し寄せたのはART-SCHOOLだけでした。
やっぱり10年以上やってるだけあって若手バンドより圧倒的に演奏が安定していました。特にリードギターの方は、歌詞を口ずさみながら&客席の方を見ながら演奏していたのでなかなかよかったです。あと見た目がその日見た人の中でダントツでバンドマンでした。
実質このバンドが主催みたいな対バンだったからか(最後に演奏してたのでたぶん?)、彼らだけまともにMCがありました。ボーカルギターとリードギターの二人が仲好さそうに話しててファンもよく笑ってるナイスなMCだったんですけど、ベースとドラムの人は一切しゃべらなかったので疑問に思い、後で調べてみるとベースとドラムはよくメンバーが入れ替わるみたいです。完璧な初見でも「ボーカルギター/リードギター」の2人と「ベース/ドラム」の2人の間に溝っぽいものが見えた気がするのでちょっとうーんって感じでした。(音楽性の違いもあるしこればっかりは仕方がないと割り切るしかないのか)
ちなみにまた言いますが、偉そうに感想言ってますけど僕はアイドルとbumpのライブにしか行ったことないし、4組のバンドも音源をほとんど聞いたことないしメンバーの名前も誰一人知らない状態で演奏を聴いてるのでなんか見当違いな感想でも気にしないでください。
THE NOVEMBERS
さて、この対バンライブに行くきっかけになったバンドです。果たしてノイズとは何だったのか理解することができたのか。
結論から書きます。なんとなく理解できたっぽい(たぶん)
再度引用します
きっと、THE NOVEMBERSのライブの空間の中では、いろんなものが“ノイズ”になりやすいと思う。
http://the-novembers.com/weblog/page/2/ 2014年1月27日の記事より引用させていただきます(原文より、色を変えて一部太字に改編してあります)
これの意味を知るためにライブに行きました。
考えた結論としては、「THE NOVEMBERSのライブ空間の中では、客の聴覚と視覚を完全に操ることで、触覚,思考などを麻痺させる。そうした状態の客は、彼らが与える音楽(=聴覚)と光景(=視覚)以外の情報をノイズと認識する」です。解説していきます。
まず、このバンドを見て感じた特徴は、ギターボーカルの足元に置かれたエフェクターの膨大さです。正確に数えてはいませんが、たぶん20個弱はあったと思います(ふつうは5個くらい?)。そんでもって、めちゃくちゃ「音」にこだわっているということが特徴だと考えました。ギターの音やベースの音、そしてボーカルの声をすべて等しく「音」と捉え、演奏してる印象を受けました。
そしてそんな風にこだわってる音ですけど、ボリュームもこだわってました。ボーカルの人が一個のエフェクターを踏むと謎の雑音が大ボリュームで流れます(ちなみにライブ後、3日間耳鳴りが止まらず病院に行ったレベル)
綺麗な音の調和の演奏かと思ったら突然の大雑音。聴覚の権利を放棄したかった。そうしてTHE NOVEMBERSは僕の聴覚を操ることに成功しました。
次に視覚。演奏中何度もフラッシュが巻き起こりました(1秒間に4回くらい光を点滅させることでめっちゃチカチカする初めて見た演出)。僕はそのフラッシュをみて「ポケモンショック」を思い出しました。たぶん子どもが長時間THE NOVEMBERSのライブを見たら高確率で病院行きです。ポケモンショックとたぶん同じ要領で倒れる。
実際は長くて10秒ほどだし、客は大人なので倒れませんが、それでも倒れる8歩手前くらいまでは追い込まれます。視覚の権利も放棄したかった。そうしてTHE NOVEMBERSは僕の視覚を操ることに成功しました。
聴覚、視覚を放棄したいレベルの演奏を聴いていると、それ以外の触覚や思考が麻痺してきます。倒れる8歩手前のチカチカと病院に行かなきゃ止まらない耳鳴りを聞かされてる状態で、思考や触覚を制御できる人がいたら連絡してください。
そうして麻痺した思考下においては、あらゆるものに思考を巡らせることができなくなります(自分の体=触覚のことや、隣に立ってる客のこととか)
そういう意味で、彼らはノイズという言葉を使ったんだと理解しました。文学的な表現をするならば、音が人間を操っていた。です。(ちなみにラノベしか読みません。とらドラ最高!!)
音楽の可能性
音楽ってすごいな。って小学生のように今まで考えてました。
その理由としては、離れた人と同じ曲を媒介にしてつながることが出来る点。とある出来事が起きたときに聴いていた曲を何年も後に聴くと、その時のことを鮮明に思い出せる点。です。
今回の対バンに行って、音楽の魅力に「音が人間を操れる点」ということを追加しました。
SEKAI NO OWARIの深瀬が「初めてギターを見た時、この限りある音の組み合わせで音楽を作るという数学的なものに不自由さを感じた」と言ったのはみなさんご存じかと思います。僕はこの発言に真っ向から対抗したい。限りある音の組み合わせで作られた音楽は、人間同士の繋がり、過去の記憶の再生、人間の制御といった可能性を秘めており、そしてまだまだ可能性はあるって思います。ドラゲない。以上。
ちなみに耳鳴りは無事完治しました。もう行かないぞ。